2023年10月20日、下北半島は冷たい雨で泣いていた。
青森県むつ市の田名部地区。ここは大畑や泊からの路線バスが集まり、病院や銀行などが集積する青森県むつ市の中心市街地である。むつ松木屋は、青森市を代表する松木屋百貨店(西武百貨店の支援を受けていた)の1分店として営業を開始し、その後資本を独立させていたため、青森の松木屋百貨店の破産閉店後も営業を続けていた。その むつ松木屋 で、弘前市に本社を有するスーパーさとちょうが営業を開始したのは2016年11月。さとちょうむつ松木屋店としてオープンした。
2021年にはMINTO機構によるまちなか公共空間等活用支援として、むつ松木屋 の建屋や内装をリニューアル。レストランEpicも開業し、内部にはスーパーのさとちょうと、だれでも利用できる待ち合いスペースが設けられ、売場は1階のみとなったものの、むつ市の中心市街地の憩いの場、賑わいの場として むつ松木屋 は大きな役割を果たし続けてきた。
青森県内に大きな衝撃が走ったのは2023年6月。スーパーさとちょうが経営悪化により民事再生手続きを開始。その後、トライアルが支援を表明したが、さとちょうの全24店舗が2023年10月20日をもって閉店することとなった。トライアルは18店舗の引継ぎを明らかにしているが、さとちょうむつ松木屋店は引継ぎ対象に含まれておらず、2023年10月20日現在、別な企業への引継ぎを模索しているが難航している模様。そのため、再開のメドが立たないまま、2023年10月20日の閉店日を迎えた。
青森市や、十和田市にもあったという百貨店松木屋の屋号を、最後まで守ってきたさとちょうむつ松木屋店。百貨店から始まった長い歴史に幕を閉じることになる。
明るいスペースのレストランEpic。大湊海自カレーなどメニューも豊富で評判だったという。閉店日が迫るとメニューを限定して提供していた。
レストランEpicは営業最終日は14時で閉店との告知。だが、材料が尽きたのか、13時半にはすでに営業を終了していた。
店内に掲示されている閉店告知。こういう光景を目にするのは何度でも悲しい。普段利用している地元の方々からすればもっとであろう。
スーパーさとちょうむつ松木屋店内に貼りだされた感謝のことば。
営業最終日のさとちょうむつ松木屋店の棚は既に空っぽ。
店内を見渡してもやはり売り場はすでに商品は無い。
どこを見回しても商品が無い。
お惣菜コーナーも同様。昨年の買い物時はここで手作りお弁当を購入して待ち合いスペースで食べた。1年半前の出来事ももう叶わない思い出となる。
レジ前に最後に残った商品を発見!しかし、タッチの差で先に来ていた買い物客が全て購入し完売...。
でぱまに「もう売っている商品はありませんか...?」
店員さん「すみません。もうないですね。」
でぱまに「レジ袋でいいので売ってくれませんか?」
店員さん「あ、レジ袋ならあります。10枚ですけどよろしいですか?」
でぱまに「はい、お願いします。」
かくしてレジにてレジ袋を購入しレシートを発行してもらった。2023年10月20日13時50分。期せずして、さとちょうむつ松木屋店の最後の買い物客となってしまった。
せっかくなのでということで、店員さんが購入した商品(レジ袋)を「松木屋」の紙袋に入れてくれた。最後まで、むつ松木屋はショッピングデパートとして輝いていたのだ。
店舗入り口に山積みになったスーパーさとちょうの買い物かご。14時になっても、普段通り買い物客を迎える光景が残っていた。
さとちょうむつ松木屋店で商品が売りつくされ、整理を始めている店員さんたちを遠くから眺める。
そうこうしている間に、レストランEpicの掲示は全て剥がされてしまっていた。
14時を過ぎても、さとちょうむつ松木屋店で最後の買い物をしようと入店する買い物の姿がみられた。その数15時までに20人ほど。しかし、すでに商品が無いと知ると、残念そうに店を後にしていった。そして15時。セレモニー等は行われないことはあらかじめ告知されていたが、店内には3-4名ほどの買い物客が残っていた。店員さんが1人1人に声をかけ、「閉店します。ありがとうございました。」と告げ、1人また1人と店を後にしていった。
そして最後に声掛けされたのは私。店を去ろうとすると、輪になっていた店員さんみなさんから「ありがとうございました。」と声がかけられた。一礼して店を出た後に、再び店員さんから声がかけられ...
店員さんのご厚意で、さとちょうむつ松木屋店の最後のメンバー集合写真の撮影と【でぱあとまにあ】への掲載を快諾いただきました。みなさま、最後まで本当にお疲れさまでした。叶いますことならば、この場所での店舗の再開と、みなさまとの再会がありますことを...
むつ松木屋は、むつ市の中心市街地の象徴でもある下北交通ターミナルの正面にある店舗です。現在は、地場スーパーのさとちょうと、レストランエビックが入居し1階のみの営業となっています。もともとは、青森市を代表する松木屋(西武百貨店の支援を受けていた)の1分店として営業を開始し、資本独立後、青森松木屋の破産閉店後も、休業を挟みながらも、むつ市の中心市街地の大型店として営業しています。
フロアもリニューアルされ、外観とはうって変わってかなり小綺麗な店内。
その中心市街地の象徴である下北交通ターミナルが、2022年5月をもって閉鎖し、取り壊されるとのこと。全国的にこうしたバスターミナルはどんどん減少している。売札所や発車案内放送が流れていた。