秋がますます深まり紅葉の時期が迫り朝晩は寒さが感じられる2000年10月15日、JR郡山駅前の都市型百貨店郡山西武が閉店した。東北第2の都市規模を誇る郡山市の中心市街地で長年営業を続けてきたデパートも、郡山市商業界の構図“駅前大型店vs郊外大型店”の争いの渦にさらされ、ついに駅前から撤退し営業を大規模な駐車場を誇るザ・モール郡山に集約することになったのである。
郡山西武はJR郡山駅前に都市型百貨店として昭和50年9月にオープンした。駅の出口のすぐ横に位置し、商業都市郡山市の代表的な駅前大型店として丸井、うすい、ダイエーとともに駅前の集客を担ってきた。全国的に中心市街地の空洞化が叫ばれるようになり始めた頃、もとのダイエーだったトポス郡山が閉店したが、さすがに福島県の経済の中心都市だけあって残りの3店はその後も駅前の顔として君臨し続けてきたのである。だが、近年郊外大型店が相次いで進出し駅前店舗のネックである駐車場不足も足かせになってきていた。そんな中、郡山西武を経営する西友は大規模な駐車場を有するザ・モール郡山の建設を決定。当初は駅前の郡山西武と2店体制で営業する方針だった。だが、その後も郊外店の攻勢は続き、さらに1999年11月老舗の百貨店うすいが駅前にリニューアルオープンさせ大規模な集客を誇るようになった。激化する“駅前大型店vs郊外大型店”の争いに飲まれ、郡山西武は1999年下半期ついに赤字に転落。そして2000年6月、駅前の郡山西武を10月に閉店し営業をザ・モール郡山に集約することを決めたのである。
営業最終日の郡山西武。当初は10月9日に閉店の予定だったが地元の要請で10月15日に延長された。最終日日中は最後の買い物客で大混雑。商品も値下げ価格からさらに30~70%引きと破格であった。日が沈み店内の混雑は若干緩和されたものの、それでも最後まで各フロア賑わっていた。
午後8時閉店だが、閉店30分を切っても客足は衰えず次々と来客が相次いだ。店内には蛍の光の曲が流れ、「25年のご愛顧ありがとうございました。」と放送していた。店から出てきたお客さんも、もう1度店舗を振り返って最後の営業を見つめていた。
閉店間際。店員の皆さんも出口に並び最後のお客さんたちを「ありがとうございました。」と長年の感謝の気持ちをこめて見送っていた。
午後8時になっても店内には相当お客さんが残っていた。店の外には郡山西武の最後を見届けようと子供連れから若者、主婦やお年寄りまでたくさんの市民の皆さんが集まっていた。午後8時16分、最後のお客さんが郡山西武をあとにした。
午後8時19分、最後の郡山西武のシャッターが降り始めた。出口でお客さんを見送っていた店員の皆さんも外に集まった市民の皆さんに向かってそろって礼をし、お別れをした。外に集まっていた市民の皆さんからは拍手がわき起こり、目頭を抑えている主婦の姿も。ここに郡山西武は25年の歴史に幕を閉じた。
平成12年11月22日から営業を開始したザ・モール郡山。セイユー系列のLIVIN、DAIK、MUJI(無印良品)が入居し大規模な駐車場を確保し登場。無印良品は福島市の中合福島店内にある店舗の売り場面積を上回り東北最大級。店舗は2階部分までだが横幅がとてつもなく広い。郡山市の商戦はますます激化!
オープンから20年たっても客足が衰えないザ・モール郡山。DAIKブランドは消失したがLIVINくらし館と名を変え展開している。LIVIN郡山として絶賛営業中!食品売り場は24時間営業!!