いわき市は人口36万を有するが、いくつもの市町村が合併したこともあり都市の核が分散している。いわき市の中心市街地といえばJRいわき駅前の平地区だが、36万都市を代表する街並みとしてはいささか物足りなさを感じる。そんないわき市の核の一つ、植田地区の中心街JR植田駅前に昭和50年4月に大型ショッピングセンターとしてイトーヨーカドーいわき植田店がオープンした。昭和46年4月のイトーヨーカドーいわき平店に続いていわき市内では2店目のイトーヨーカドーとなる。
オープン以来植田地区の商業の核として親しまれてきた。だが、平成7年以降いわき市内に相次いで郊外型の大型店が出店した。そのあおりを受け、各中心街にある店舗は売り上げを減少させていった。それを如実に表したのが老舗百貨店大黒屋の倒産であった。イトーヨーカドーいわき植田店も売り上げが減少の一途をたどっていった。平成5年度には47億円を超える売り上げが、平成11年度には29億円にまで減少。中規模な店舗規模ということもあり今後も売り上げの増加は見込めないとの判断から平成14年2月に同年8月末をもって撤退することが決定した。
しかし、閉店が迫るとともに存続を求める声が日増しに高まっていった。店舗を管理する共同組合側もイトーヨーカドーに存続の要請を繰り返し行った。イトーヨーカドー本社サイドはこれらの動きを踏まえ、イトーヨーカドーいわき植田店の売り上げが最近増加傾向にあり、店舗の改装や商品構成の見直しなどを進めれば将来黒字転換ができると判断。撤退計画を転換し平成14年6月10日までにイトーヨーカドーいわき植田店の営業継続を決定した。
営業継続が決定した最初の日曜日、店舗の前には開店前からたくさんの買い物客が。「継続宣言」の垂れ幕が掲げられ、今後の営業に意気込みを見せるイトーヨーカドーいわき植田店。画像を手前に行くとすぐJR植田駅。まさにいわき市植田地区の顔である。
開店時間後の駐車場。父の日ということもあってか午前中から車でいっぱい。家族連れなどの次々と買い物客が店内へ向かっていった。駐車場や店舗のまわりには営業継続を知らせる旗が連なり、活気づく。
営業継続を記念したセールを開催。『熱いご要望に応え、営業を続けます。従業員一同、心機一転、頑張ります。』 今後も地域に親しまれる店舗を目指す。
開店直後から店内には大勢の買い物客が訪れていた。小学生を対象としたイベントも催され、子供達も大勢集まっていた。店内のレストランにも次々と買い物客が足を運ぶ。福島県内で大型店の撤退が相次ぐ中、イトーヨーカドーいわき植田店のこういった光景がこれからも続くことが決まり、うれしい限りである。今後も末永く植田地区の顔としてあり続けることを願いたい。
ヨーカドーグループの持ち株会社移行に伴い、イトーヨーカドーいわき植田店の塔屋も「SEVEN & i HOLDINGS」にお色直しされた。その下の「植田ショッピングセンター」のカラーリングも新調。平日ではあったが、買い物客の入りはまずまずであった。