函館駅前で営業している棒二森屋は、百貨店としての営業開始は1937年。前身の金森森屋の創業が1869年(明治2年)、棒二荻野呉服店の創業は1889年(明治22年)と、150年に渡る歴史を持つ老舗百貨店となります。
1952年、1955年、1956年と増床を繰り返し、1959年には函館市で初めてエスカレータを新設。その後1961年、1966年、1974年の増床を経て本館が現在の形になりました。一方、1982年にアネックス館をオープンし、2館体制となっています。また、1983年に立体駐車場「ボーニパーキング」を開設しました。
1971年には三越との業務提携を締結しましたが、1981年には解消しダイエーとの業務提携に転換。1988年にダイエー子会社 アドバンスド・デパートメントストアオブジャパン(ADS) から商品供給が開始され、1994年には営業がADSに譲渡されています。2000年にはADS三春屋と合併、そして2005年12月1日に中合と合併して、中合棒二森屋店として現在の営業体制になりました。
このように提携先、店舗、経営主体の変遷を経てきた棒二森屋ですが、函館市のデパートとして長年市民に親しまれてきました。しかし、人口減少に伴う売り上げの落ち込みに歯止めがかからず、北海道新幹線新函館北斗延伸の効果も限定的で、本館の耐震性が基準に満たないことも判明したことから、2018年6月に中合は2019年1月末で棒二森屋の閉店を発表しました。
棒二森屋本館。函館駅前から伸びる電車通りに面している。アーケードは撤去されてしまったようだが、本館には婦人服や紳士服、子供服や食器、地下にはグローサリーなど、百貨店の売場が並んでいる。アネックス館や立体駐車場とは連絡通路で階上からもつながっている。2018年11月24日にお買い物。
アネックス館は函館駅前正面に位置する。函館市電函館駅前電停が正面にあり、みずほ銀行もテナントとして入居している。北海道スイーツ売場や銘店、婦人服のほか、ミニプラや書店、CD、雑貨、アミューズメントなどのテナントも営業している。4Fにあった無印良品は、丸井今井函館店正面のシエスタ函館に移転したため撤退し、空きフロアは催事場として活用されている。
本館とアネックス館を結ぶ連絡通路。中合福島店1番館と2番館を結んでいたNロードを彷彿とさせる。複数棟の店舗構成にはやはりこれがないと。
Nロードと違い、階層ごとに別の構造物となっている連絡通路。棒二森屋閉店後、この通路も撤去されてしまうだろう。公道上の上を跨ぐ構造物は、実はNロードも一緒(ツイン広場…山中広場も実態は市道)。
1983年開設の立体駐車場ボーニパーキング。ボーニカード(OMCのクレジットカード)を利用すれば最大3時間無料になった。
本館と立体駐車場を結ぶ連絡通路。
立体駐車場は500台駐車可能で、7:00-21:00の営業。休日には買い物客の車がずらり...のはずなのだが。
ボーニパーキング内のエレベーターが2基あった。本館入り口は奥の通路からで、売場案内も掲げられていた。
本館は増床のたびに階層を増していき、現在の形になった。店舗裏側にあたる部分にはモザイク壁があった。
バス停「棒二森屋前」。函館駅ターミナルの次のバス停になっている。棒二森屋閉店後は、名称の変更があるのだろうか。昔は棒二森屋買い物客向けの買い物バスも走っていたようで、車体に「に」と書かれたバスを見た記憶がある。
本館の立体駐車場側で営業するラッキーピエロ函館駅前店。ラッキーピエロは函館市で有名なご当地グルメ店舗で、17店舗を展開している。函館店は棒二森屋の営業時間に関わりなく24:30まで営業している。棒二森屋閉店後のこちらの運命は…?
本館とアネックス館の間の道路で見つけたアネックス館への入り口の1つ。なんだか隠し入り口みたいで、1Fフロアの北海道スイーツ売場に通じている。
2018年8月から閉店セールが開始された。訪問時には店内に30%,50%OFFの掲示が並び、少しずつ空き棚も目についている状況であった。閉店まであと2ヶ月余りとなった店外では、棒二森屋の最後の姿を写真に納める人の姿も複数見かけた(自分もその1人だが)。
本館前にアーケードは撤去されてしまったが、例年どおりクリスマスの装いをしている棒二森屋。閉店セールと並んでクリスマスフェア(全国送料●●)や、お歳暮特設会場も開設されていた。例によって買い物でNAKAGOカードを見せると、
ボーニカードと似て非なるカードに対して店員さんが「?」となったり、まじまじとカードを見られたりしたが、結局のところノーマルなOMCカードとしてクレジット処理。中合ポイントは当然ながら付与されず。
棒二森屋の店外掲示の1つ。ボーニカードの新規受付は既に終了している。当然、お歳暮は今回は棒二森屋で頼みましたよ。お歳暮会場では、今回で最後となる棒二森屋のお歳暮を残念がる買い物客や、お歳暮の品を店員さんと一緒に検討する若い方の姿も見られた。
函館駅前に面したアネックス館の入り口。垂れ幕にこそ「閉店セール」が掲げられているものの、入り口には営業終了を匂わせる掲示が無かった。これが意味するものは果たして
1Fは北海道スイーツ売場に改装(地下にも北海道銘店があるが)されており、目移りするほどのスイーツが並んでいた。いろいろ買いたかったが、ほどほどにしておいた。すみませんが、棚にあった大好物の夕張メロンキャラメルは全部買ってしまいました。閉店までまだ間があるのでおそらく補充されるでしょうが...。
本館とアネックス館の連絡通路には、閉店にあたって買い物客の思いを綴るコーナーがあった。それぞれのメッセージには、「家族と棒二森屋の思い出」「ありがとう」「戻ってきて」などの棒二森屋のへの強い思いが数多く寄せられていた。私たちもメッセージを寄せたが、翌日にはまだ掲示されていなかった。。。報道によると寄せられるメッセージが非常に多く、棒二森屋では2枚目のボード設置も検討しているとのこと。
通りかかった若い女性2人組の「ボーニ閉店しちゃうんだね」とボードを見て残念そうに話し合っていた。
棒二森屋のフロア案内。アネックス4Fは催事場となっていた。
棒二森屋最後のお歳暮カタログ。棒二森屋150年のあゆみが掲載されていた。
お歳暮申込時にもらったお買い物券。もったいなくて・・・未使用のまま手元にある。
函館市を去る前に1枚。さようなら棒二森屋。
棒二森屋の閉店発表前後にかけ、耐震性の問題が無かったアネックス館の閉館延期を求める声が函館駅前商工会や函館市から求められていた。中合は当初難色を示したものの、強い要望をふまえアネックス館を再開発までの3年間程度、営業継続をする検討をし、本館を含むテナントに継続契約の打診を進めていた。
「棒二森屋」としては予定通り2009年1月31日に閉店し、2月8日からアネックス館はテナントビル「函館駅前ビル」として営業再開。2月20日までに書店やアクセサリー、衣料品店などが営業する予定。しかし、ビルの「棒二森屋」のロゴはいずれ消されてしまう模様だ。
一方、函館空港の売店「棒二森屋」は当面存続するとのこと。こちらの様子も見に行きたいものだ。