中合

 

ついに この日が やってきた

 

今日も準備万端で福島駅前を見つめる中合。これから始まる最後の日を前に何を思う?

 

各入口には既に人だかりができていた。記念に中合の姿を写真に収める人の姿もあった。

 

開店前から、各テレビ局や新聞社の取材も始まっていた。みな一様に、閉店にこめた寂しい気持ちや感謝の気持ちを答えていた。

 

駅前地下歩道出口前では、福島民報社が号外というわけではないが、中合特集紙面(当日付朝刊の13-16面)を無料配布していた。

 

正面入口には開店を待ちわびる多くの買い物客が。もうすぐ、お店が開きます。

 

いつものBGMとともに10:00開店した中合。次々と買い物客が店内に入っていく。

 

しばらく途切れることの無かった開店待ちの行列。このような光景が見られるのも今日が最後...

 

『営業終了まであと1日』これから中合最後の長い1日が始まる。

 

みんなの気持ちのこもった中合へのメッセージボードも完成し、1Fエスカレーター前に掲示されていた。はじめはシートが貼られるペースが遅くて心配したが、こんなにもたくさんのメッセージが寄せられて良かった。

 

どの大型店でも恒例と思われるブランドバッグのたたき売りセール。2Fエスカレーターの上って左側のスペースで繰り広げられていた。あまりの人だかりで通路がふさがったためであろうか?午後には既に撤退したテナントのスペースに移動させられていた。ちなみに本日のお客様第一号は

 

大勢の買い物客が行き交う4面エスカレーター。やはりデパートのエスカレーターはこうでないといけない。

 

中合営業最終日は、飲食店のラストオーダーは17時まで。東京風月堂、最終日は限定メニューとなっていた。お目当てのカルボナーラは終了していた。

 

和風パスタとナポリタン。それと”カルフォルニアウィンディ”

 

毎月15日と末日は、中合で ももりんポイントカード が使える。それなりのものを買うと一気にポイントがたまるので重宝していた。今日、8月31日(月)は中合最後のももりんデーでもある。

 

7Fフロアは大催事場。ここでは人気の物産展やお中元お歳暮など、百貨店ならではのイベントが繰り広げられていた。コロナ禍の影響で、人気の物産展が軒並み中止となり、今年は賑わいの場がここに来なかったのが非常に残念である。

 

ホテル辰巳屋とを結ぶドア。これ ストップ姉さん と呼ばれていることを今日初めて知った。ホテル辰巳屋に宿泊した際、ここを通って直接中合に入って買い物をしたこと数回。それも良い思い出。

 

7Fから屋上へと結ばれ、今は封鎖されている赤階段のバリケードに、メッセージが添えられていた。おそらく、中テレのメッセージボードに書ききれなかったのであろう。

 

中合の館内BGMは通常のBGMの他に、昔使っていたと思われる音源が古く感じるBGMもこの日は流れていた。また、館内放送で中合の黒崎社長の挨拶が繰り返し流されていた。
「福島の地で、多くのお客様とふれあえたことに大きな喜びを感じています。福島の皆さまのご健勝ご多幸を祈念いたします。なお、新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、閉店のイベントは行わず、通常通り閉店させていただきます。なにとぞご理解いただきますようお願いいたします。」

 

6Fフロアは子供服、日用品、寝具、手芸品、そしてレストランサンダースと桃園。2番館が閉館するまでは玩具売場もあった。ニンテンドーDSが品薄の時期、中合に行ったら普通に売っていたことに驚きを隠せない東京の友人あり。子供服もキムラタンとミキハウスがメインで、男児向けにはやや寂しいラインアップであった。これも2番館閉館による売場再編の影響...

 

5Fフロアは紳士服、紳士靴、紳士雑貨、スポーツウェア、時計宝飾。コロンビアとニコルにはいつもお世話になっていた。閉店日近くになるとパジャマが格安で売られてまとめ買いしたり、憧れのダーバンでコート買って、ソファに座って会計したりと最近まで思い出がたくさん。オーダースーツも\39,800からで、手が届く範囲で重宝していた。我が家の掛け時計は、みんな中合で買った時計です。

 

4Fフロアは婦人服、着物のフロア。うちの母がお世話になったに違いない。閉店間際になって顔なじみになったテナントもあり、粗品もらったり、移転先を教えてもらったりして、「またぜひいらしてくださいね。」と挨拶をした。

 

3Fフロアは婦人服。リフレクトなどお気に入りのブランドがここにあるという人も多かったに違いない。華やかなフロア。東京風月堂も3Fにあった。

 

2Fフロアも婦人服、カバン、婦人靴、学生服など。アンタイトルやイーストボーイなど若い人向けと思われるブランドや、ミスターミニットもこのフロアに。

 

1Fフロアは化粧品、婦人雑貨、マッキントッシュ(既に営業終了)など。ルベルジェのカフェも併設されていた。晩年にはエレベーターの扉に化粧品の広告が施されるなど、デパートの表玄関に相応しいフロアであった。

 

1階フロアは入り口から店内に入る人の行き来が激しい。それぞれの想い出をもって買い物をする中合福島店での買い物客。コスメコーナーは最後まで接客が忙しそうだった。

 

中合福島店の一番の見せ場である1階正面エスカレーター前。中合閉店という大ニュースを取材すべく各メディアも閉店日の様子のその瞬間瞬間を待ち構えていた。

 

地下は銘店街。銘菓や総菜、珈琲や酒類など。総菜の「こひ呂」や「モロゾフ」「ゴディバ」にはよくお世話になった。テナントにシーキューブが入ったときは本当にうれしかった。さすがに生ティラミスは販売しなかったが、大好物の焼きティラミスが福島で買えるようになった。

 

中合営業最終日は、開店時から地下フロアは大変な賑わいで、あっという間に各銘店品切れ続出。空のショーケースだけが並ぶフロアになってしまった。幸い、「こひ呂」で最後に残っていたロースカツとサラダを購入することができた。店員さんに挨拶もできて良かった。

 

本当に売るものが無い地下食品売り場。店員さんは後片付けに追われ、買い物客に「すみません。これが欲しいのですが。」と声をかけられることももうない。

 

多くの買い物客が行き交う中合福島店のエスカレーター。この青ベルト赤ベルトで両面のエスカレーターは中合の特徴。これが標準だと思っていた私は、山田百貨店のエスカレーターは簡易版とばかり思っていた。

 

中合の北口前にはタクシー待機場があり、中合で買い物を終えた買い物客がタクシーで家路につく光景がよく見られた。明日以降、ここにタクシーは待機しているのだろうか...?

 

昼前から雨模様にも関わらず、中合福島店には買い物客が次々と出入りしていた。

 

悲しみの雨の中、福島駅前を見下ろす中合福島店。

 

長蛇の列で交通に支障をきたしている辰巳屋地下駐車場。ここの駐車場は地下3Fまであり、押しボタン早い者勝ち方式であった。この車の列を見るのも今日が最後になるのだろうか?

 

夜が近づき、あと1時間で閉店時刻を迎える中合。店内はまだ多くの買い物客でごった返していた。

 

1F赤階段壁に掲示されていた中テレの中合へのメッセージボード。ここにも、買い物客の熱い思いがこもっている。

 

中合といえばこの赤階段。階段はこのほか黄色と緑があるが、メインで使われているのはこの赤階段。小さい頃、ここで親に買い物を待っているように言われて、兄弟とじゃんけんで階段を上り下りして遊んでいた記憶が今も鮮明に残っている。

 

中合のエレベーターはゴールド。震災前までは、エレベーターガールも乗務していた。
 「上へまいります。」
 「下へまいります。」
 「○階と×階にとまります。他にご利用ございませんか?」
 「●●と▲▲のフロア、○階でございます。」

 

6Fのエレベーターの扉は、福島市街地の地図と磐梯山の等高線が描かれていた。子供心に、なぜここだけ扉が違うんだろうと不思議に思っていた。

 

閉店15分前になり、店内に蛍の光のBGMが流れ出した。各フロアでは店員さんの見送りが。
 「最後に会えて良かった。」
と店員さんと買い物客が握手をしあう場面も。

 

閉店時刻が近づき、下りエスカレーターで次々と店を後にする買い物客。

 

18:53、中合正面入り口側では、店員の「中合福島店、閉店いたします!」のマイクボイスとともにシャッターが降りていった。その姿を見るべく、多くの市民がツイン広場に集まっていた。

 

完全にシャッターが閉じられた中合福島店正面入り口。しかし、店内にはまだ多くの買い物客が最後の買い物を楽しんでいた。

 

残りわずかな時間で、駆け込みで最後の買い物をする買い物客もまだまだいた。私もコロンビアで最後の買い物をした。店員さんにも最後に挨拶できて良かった。

 

既に東側の正面入口は閉店時間前に閉じられ、北側入口に誘導される買い物客。名残惜しそうに店内に留まり、出口近くで列をなしている買い物客の姿もあった。

 

中合福島店大円団。最後の出口となった北側出口前には、中合福島店の店員とともに、長年中合を愛した買い物客が居残って両脇に列をなし、店を後にする買い物客を笑顔で見送る。万感。

 

北側出口から店を出る買い物客。最後の買い物客は19:13頃、中合を後にしていった。

 

店内から全ての買い物客が出たことを確認して、最後の出入り口に施錠が掛けられる。

 

ゆっくりとシャッターが降ろされ、営業を終了する中合福島店。

 

店の光がシャッターの奥に吸い込まれていき、ここに中合は、146年の歴史に幕を閉じた。

 

私の世代で、中合デパートとお別れをするときが来るとは思ってもみなかった。福島駅前再開発事業に関連し、本来は2021年1月末までの営業との方針だったようだが、コロナ禍による営業数値の急激な落ち込みで親会社の(ダイエーの親会社の)イオンが2020年8月末での営業終了の判断をしたようだ。

 

中合 最後まで よくがんばったよ