「ここにくれば何でも揃ったのに。」
「そうそう、人いつも入ってたんだよここは。」
「ここはバスターミナルもあって売れる店なのに。」
「ここだけでも残してくれれば良かったのにねぇ。」
2024年9月29日(日)、私はイトーヨーカドー弘前店の入口で開店を待つ女性2人組と一緒に思い出談義に強制参加していた...。
「あんた、福島から来たの分かるよ。だって訛りが違うんだもん。」
「福島のヨーカドーも無くなったの? 都会の福島でさえ無くなっちゃうんではね。」
若干誤解もあるようである...。
イトーヨーカドー弘前店は、1976年10月に開業。当時の国鉄(現JR東日本)の駅前エリアの大型商業施設として、弘南バスのバスターミナルを併設した地上8階、地下1階の店舗でオープン。土手町のカネ長武田、中三弘前店、ハイローザ。そして駅前のダイエー、イトーヨーカドーと、津軽地方の大きな街として弘前市の発展を謳歌した時代が続いた。
やがて、複数の店舗が撤退や移転をするなか、駅前中心街の高層店舗としてイトーヨーカドー弘前店は弘前市の顔としてあり続けた。1995年に増床、2020年には店内の大規模改装を実施。「ロフト」や「無印良品」などの流行テナントを1階に揃え、回遊性を大きく高めたイトーヨーカドーの思い切った売り場構成は、集客に大きく貢献していた。
しかしながら、イトーヨーカドーは全社の経営効率化の施策として東北・北海道からの全面撤退を発表。弘前店も例外ではなく2024年9月29日(日)限りの営業となった。
08:30
2024年9月29日(日)開店30分前。イトーヨーカドー弘前店は東からの朝日を浴びて、大きな影を交差点に落としていた。
開店30分前から50人近くの行列が正面入口から続いていた。熱心なイトーヨーカドー買い物客の姿かと思ったが、本日入荷した50袋限りの新米の購入待ち行列であり、店員さんがロープを張って雑踏整理にあたっていた。
営業最終日のお知らせ。近日閉店した各地のイトーヨーカドーの混雑ぶりを目の当たりにし、安全確保のためセレモニーを見合わせ。また、入場規制の可能性にも言及。
営業最終日は19:00にて閉店。駐車場も19:00にて閉場。
ポッポクレープの開店待ちの列は第二立体駐車場地下連絡口より。何人かは地上の店舗入口に来て「クレープが...」と言っていたので、この貼り紙のことを伝えた。ポッポクレープは、イトーヨーカドー弘前店が全国最後の販売店舗だったようだ。
イトーヨーカドー弘前店営業終了後も、引き続き同建物で営業継続するテナント等の案内も掲出されていた。
開店時刻の9:00の数分前に扉が開けられ、風除室に案内される買い物客。開店まで風除室内のベンチ等で体を休めていた。