大田原東武営業最終日

東武百貨店大田原店(正式名称:東武宇都宮百貨店大田原店)は大田原市街地の西端に位置する、栃木県北唯一の百貨店でした。建物はもともと、宇都宮市に本店を置いていた上野百貨店の大田原店として1999年4月に開業しました。上野百貨店大田原店は年間売上高約70億円を目標としていましたが実績は約45億円にとどまり、上野百貨店は売上不振により2000年に倒産。大田原店も閉鎖され、しばらく空き店舗となっていました。

2002年9月7日、東武宇都宮百貨店が建物を活用し大田原店を開業しました。売場面積は約12,000㎡、駐車場は地下を含め約1,300台を収容。初期投資を抑えた居抜き出店で、栃木県内初出店約15店を含む約30のテナントの体制で営業を開始し、初年度売上高は約70億円を目標としました。開店初日のはあいにくの雨模様でしたが開店前には約500人が列をつくり、約1万5,000人が来店しました。当時は大田原市中心部で「大田原サティ」も営業しており、特別セールを実施して対抗しました。

開店後1年間の売上高は約60億円でしたが、主力である衣料品販売の低迷などにより、2017年には長年維持してきた50億円を下回りました。その後は新型コロナウイルス禍も重なり、開店20周年の2022年には3階の大部分へ「ニトリ」「ユザワヤ」を導入するなど、直営売場を縮小してテナント化を進めました。しかし中期的な売上回復が見込めず、建物の賃貸借契約が2027年2月末で満了することに加え、館内設備の更新に多額の費用が必要となることから、2026年8月31日での営業終了が発表されました。売上高は2005年度の約60億円をピークに、2024年度には約37億円まで減少していました。

そして、2026年8月31日(月)。大田原東武は営業最終日を迎えました。

※ 当日の館内等の撮影は、事前に許可を得た範囲・条件のもと行っています。


09:00


営業最終日の朝を迎えた、大田原東武。心なしか、TOBUで彩られた店舗も寂しそう。既に、駐車場には開店を待つ複数台の車があった。店舗の周辺を眺めながら散歩する夫婦、店舗の正面入口で店舗を見上げる人の姿もあった。9:17頃に正面出入口のシャッターが開かれ、9:30にはタクシーで店舗に乗りつけて来店する買い物客もいた。9:35に、最初の買い物客が正面出入口に列を作り始めた。

 


10:00


開店前には、列が駐車場側に伸びるほど開店待機の列ができていた。

 

開店と同時に、次々と大田原東武に吸い込まれていく買い物客。最後の営業日が始まった。

 


11:00


飲食店販売には長蛇の列ができていた。特に新宿さぼてん、富次郎(たこやき)が物凄い行列。早くも駐車場は満車になっていた。店内を寂しそうに見渡しながら立ち尽くす人、化粧品売り場ではにこやかに笑顔で挨拶をしている店員さんと買い物客。

 


12:00


部活の早帰りか、まだ夏休みなのか、高校生らしき制服の人たちがたくさん店内にいるのが目立った。このバス停「東武百貨店前」にも長蛇の列。午前中に、大田原東武で最後の買い物をして家路につく人たちの姿だったようだ。

 


13:00


正面入口を入った店内。営業最終日特有のざわめきと、百貨店の日常とが交錯している雰囲気であった。

 

1階スーパー(北野エースなど)の棚は、空になった部分が目立ち始めていた。売場からは「本日最終日!」の掛け声が響き渡る。一方で、たこやきの富次郎は最後尾から1時間待ちという衝撃が走る。

 

もともと3階にあった玩具売場や子ども服売り場も、大きなスペースを確保して最終日まで営業。ここはいつでも親子連れで賑わっていた。ファミリー層がみんな楽しめる、それがデパート。大田原東武にはそれがあった。

 

主力の婦人服売り場でも最終セールを実施。売り場面積の関係上、扱いが少なくなった紳士服もお買い得品多数でついつい財布のひもが緩んでしまう。とてもお気に入りの衣類を購入できた。

 

3階の専門店テナントのニトリは、半分程度の棚が空いている状態。ニトリの最寄は「那須塩原店」だという。

 

おなじみのユザワヤも人気のお店だった。最終日でも商品が豊富に並んでいる印象を受けた。

 

大田原のデパート、東武宇都宮百貨店大田原店に宛てた、小学生たちのメッセージ。まさに、これからの未来をはぐくむ、大田原の宝物ですね。大田原東武と歩んだ小学生時代を忘れないでほしい。

 


15:00


15時になっても客足は衰えず。1階の雑貨屋衣料品売り場では、お買い得商品を品定めする買い物客たちが、店員さんと積極的に話をしていた。1階コスメ店では、目頭を赤くしながら店員さんに挨拶をしている買い物客も。

 

ところで1階の富次郎さんは11時頃から閉店間際までずっとこんな状態。よくさばききったと思う。

 

フリーザーにはところどころに隙間ができながらもまだ商品が。買い物かごに1つ1つ入れていかれては、棚に隙間ができていた。

 

メッセージ...書きたかったけど、貼るスペースが皆無でした。

 

来店のたびにお世話になった靴屋さん。不思議なことに、我々家族にぴったりの靴が揃っていて、いつもここでの買い物は欠かさなかった。

 

だんだんと、玩具の数も少なくなってきた。しかし、親子ずれはこの後の時間に来店ピークを迎えることになる。その時をまっている大田原東武のキッズスクエア。

 

ユザワヤさんは相変わらず人気。ちょうど来店ピークを迎えていた。

 

今日だけで、御用邸チーズケーキ何個買っただろう。だって、店員さんが前を通るたびに勧めてくるんだもん。

 

 


16:00


大田原東武の営業終了を嘆いているねこたん。青年らしき2人組が「いやー、さみしくなるなー」と声を張って歩いていった。

 

16:00からは閉店セレモニーとして、センターパークで那須「弦楽亭」による弦楽三重奏の披露。演奏の合間にはメンバーによるデパートの逸話、子どもの頃遊ぶところはデパート、東京の東武が巨大すぎた、その東武が大田原に来た、大田原東武で働いた経験などをしみじみと話していた。およそ60分に演奏のラストとは、万感の思いを込めながら「蛍の光」。そしてアンコールは「ふるさと」。このふるさと大田原に東武百貨店があったこと。ふるさとの誇りだと思ってほしいとの願いが込められているようだった。

 


17:00


小雨がぱらつく時間帯。それでも駐車場はほぼ満車。買い物客の出入りも相変わらず激しい。17時を回り、後片付けに入る店や、「最後にジュエリー! がんばってお父さん」と謎の呼び込みをしている店もあった。中学生らしき集団も多数来店し、地元のデパートの姿を惜しむかのように見て回っていた。きっと、小さいころからの楽しい遊び場所だったのだろう。

 

ベーカリー屋さんも棚が空に。すみません。残っていた「ぶどうジュース」は全部私が買っちゃいましたが。

 

既記事のように、ゴールデンベアーは9月中旬に東武栃木市役所店にメンズ・レディースで新規オープンとのこと。

 

17時を回ると、最終値下げに入る店舗も。20%、50%、70%。

 

この時間でも、実に様々な各層が大田原東武に出入りしていた。大切なこの1日を、大切に過ごすかのように。

 


18:00


店員さんの後片付けと、買い物客のまとめ買いが交錯する売場。まとめ買いのまとめがハンパない。足早に店内に駆け込み、買い物を始める人も。

 

さすがに食品売場は、ほぼすべての棚が空になってしまった。店員さん同士で長い間ともに働いたお店の思い出話も聞こえてきた。

 

サーティーワンアイスクリームは、18時でタイムアップ。しかし、この長蛇の列、19時までに商品行き届くのだろうか。

 

最後の賑わいをみせる2階衣料品フロア。この時間、家族連れや子ども連れが多く目立ち、楽しく買い物をする姿が目立った。親御さんが、地元にあったデパートをしっかりと見せるために連れてきたのかもしれない。

 

ユザワヤのレジには長蛇の列ができていた。最終駆け込みのお買物。

 

一足先に「小さなおもちゃの国」は閉場。

 


18:30


18時半に館内放送が流れる。「お買い忘れのございませんよう、どうぞ、最後まで、お買い物をお楽しみくださいませ。」

 

さすがにもう売るものが無い食品売場。そう、富次郎(たこやき)を除いては。

 

大田原東武での最後の買い物を終え、フロアを後にする買い物客。

 

だんだんと、そして音もなく、人の姿がなくなり、寂しくなっていく売場。店内を歩く買い物客も、寂しそうな表情。

 

センターパークに残されたイスに座り、吹き抜けを眺める買い物客の姿があった。

 

その眺めがこちら。吹き抜けに勇壮にたなびく、TOBUの垂れ幕はデパートの誇りでもある。私もみなさんと一緒に、しばらくこの光景を眺めていた。18時45分、店内には蛍の光が流れ始める。

 


19:00


営業終了時刻間際、とわらぶちゃんが店内で買い物客をお見送りする。親子連れは大喜びで、とわらぶちゃんと握手や抱擁などをしていた。

 

店舗の外で、大勢の買い物客に笑顔で手を振るとわらぶちゃん。大田原東武。みんな最後まで、笑顔で。

 

大田原東武を愛する買い物客が掲げたプラカード。24年間ありがとう。

 

本当に大勢の買い物客が集まる中で、大田原東武店長の最後の挨拶が始まる。「24年間の営業の間、東日本大震災、コロナなどといった困難もあり、営業したくても営業できない日々もあった。しかし、地域のみなさまの”笑顔”に支えられて、ここまで営業できなことに感謝。今後は東武宇都宮店が栃木県全域のお世話をさせていただきます。」

 

あいさつが終わると、残った大勢の買い物客から万雷の拍手と声援が。

 

「2026年8月31日、東武百貨店大田原店、営業終了いたします!」店長の掛け声とともに再度万雷の拍手、そしてシャッターが降り始める。

 

鳴りやむことのない拍手に応え、みんな最後まで笑顔で。

 

シャッターが降りると「大田原東武ありがとう!」「ありがとう!」と声援が。大田原市のデパート、東武宇都宮百貨店大田原店がここに有終の美を飾った。

 

シャッターが完全に閉じると、一気に静寂に包まれる。しかし名残を惜しむ買い物客がしばらくシャッターを、店舗を眺めていた。

 

これまでお客様からたくさんの笑顔をいただきありがとうございます
二十四年間大田原の地で皆様にご愛顧いただき従業員一同感謝申し上げます

センターパークに掲げられていた、大田原東武からのメッセージ。

 

 

 

24年間ありがとう。私たちも何度も通いました。大田原市に東武百貨店があったことを忘れません。