丸広百貨店東松山店(営業最終日2)
日が傾き、営業終了まで2時間を切った丸広百貨店東松山店。東松山市のデパート、最後の雄姿。
店舗の前では、店に入る人、店内の様子を伺う人、様々な人たちが丸広百貨店東松山店の前を行き交っていく。
自転車で通りかかった人も、ペダルをこぐのをやめ、まるひろ東松山店の姿を記録に。
3階フロアも商品がだいぶ少なくなってきたが、最後の掘り出し品を見つけようとまだ多くの買い物客が残っていた。サイト運営者も汗だく、死活問題なのでTシャツを購入。良いのが残っていて良かった。
4階催事場ではファッションバザール最終日。こちらの客足は徐々に落ち着いてきたようだ。
1階銘店街。川越銘菓の「亀屋」コーナー。菓子のばら売りをしていて、奥の3つのトレイに亀どら、水ようかん、芋パイが。
「これ、全滅させたら迷惑ですかね...」
と店員さんに聞いてみたら
「いえいえいえ、買っていただけるなら大変ありがたいです。余らしても困っちゃうんで。」
などと話しているうちに、手前のトレイに「こがね芋」を並べだす店員さん。
「えーと、こっちも買えということでしょうか??」
と尋ねると
「あはははははは」
と笑われたので、迷いを振り払いトレイのお菓子全て購入。もってきたカバンが銘菓でパンパンになってしまった。
1階エスカレーター乗り口にたくさん差し込まれているチラシ。朝は「ご愛顧感謝セール」のチラシだったが、夕方には「まるひろmini」のものに変わっていた。
地階の食品売り場は、空の棚が目立ち始めたが、相変わらずの大賑わい。総菜コーナーでは
「5時に揚げたて。最後の揚げたて。どうぞご利用くださーい。」
と調理師さんの威勢のいい声が。
相変わらずレジは長蛇の列。ペットボトル売場もほとんど空だったが、なぜかブラックコーヒーのペットボトルだけ17:48現在、大量に残されていた。近くにいた店員さんに
「なぜコーヒーだけこんなに余っているんですかね。」
と他愛もないことを聞いてみると
「いやー、私が聞きたいくらいですよ。」
とのこと。しかし、17:59に主婦がカゴいっぱいに買い占めに登場し、見事完売となった。
地階を一回りして、欲していた飲料(とにかくこの日は暑かった...)は無かったのだが、商品券売り場には午前中と同じ店員さんが
「ご来店ありがとうございます。セレモニー、裏口の方でやるんでぜひ見て行ってください。」
と丁寧に案内してくれた。
外が薄暗くなってきたエントランスでは、メッセージボードに最後の言葉を書き記す買い物客の姿でいっぱい。みんなに愛された丸広百貨店東松山店。
予想していたとおり、レストランは一足早く営業を終了していた。その静けさが序章となり、だんだんとフロアから買い物客が1人また1人と去っていく。
丸広百貨店東松山店を後にする買い物客も、振り返ってその姿を最後に目を焼き付けていた。
店舗を挟んでまるひろ通りの反対側では、その姿を画像に収めている人たちの姿がたくさんみられた。
営業終了30分前になっても絶えることのない車列。警備員さんも最後までしっかりと誘導していた。
「いらっしゃいませ!」
と大きな声をかけながら。
夕刻。日の入りが早くなり始めた時間。まだまだ店内には多くの買い物客が残っていた。丸広百貨店東松山店の最後の時とともに。
そして、19時をまわり、次々と買い物客が店を後にしていく。この垂れ幕。閉店セレモニーの店長挨拶の場所。店長自らが「この下で」と選んで機器をセッティングしていた。
最後の買い物客が店内を後にした19:20過ぎ、閉店セレモニーが始まった。丸広百貨店東松山店の従業員さんたちが後ろに並ぶ。商品売り場の店員さんもこちらに気づいて合図してくれた。私も笑顔で返す。そして、営業終了のあいさつをする店長。
ここにいらっしゃるみなさまのおかげ
地元の東松山市商工会、まるひろ通り商店街、松山高校、松山女子高校、東京農業大学第3高等学校といった地域のみなさま
おかげさまで今日までこの場所で商いをすることができた
これだけ長く、ここで商売をさせていただいたということは 屋上にある看板(塔屋)をみて
遠出をした帰りに「まるひろの看板」をみると
なんかほっとした気分となっていた
また、地元と東松山に帰ってきたなと
このようなランドマーク的な建物を閉館させていただくことになってしまったのも
従業員一同 寂しいきもちでいっぱい
今から約2か月前の6月12日 みなさまに閉店を告知させていただく日
その日に 全体朝礼で3つの約束
①最後まで笑顔で出社すること
②8月18日の最後の営業まで最高のおもてなしを実践すること
③あと2か月だからできることを精一杯行おう
特に3つ目で8月12日に屋上の開放をした これは従業員の声からあがった企画
最後に屋上から見た昔の美しい光景をもう一度見ていただきた 従業員のお客様に対する思いやり
ここで、かわいい「ありがとうございました(←リンク)」との声で場が和む。
このような従業員に育てていただいたのは ここにいるお客様
(ここで大きな拍手)
従業員もお客様同様寂しい気持ちでいっぱいだったと思います
そんな従業員も寂しさを必死にこらえて
私との約束をまもっていただいた 従業員にもこの場を借りてお礼を言わせてください
(店長自ら従業員に向かって「みんな本当にありがとう」「ありがとう」と頭を下げる)
店長、そして従業員のみなさんが本当に多く残った買い物客に向かって一礼。
そして、買い物客から店長へのサプライズの花束贈呈。再び大きな割れんばかりの拍手。
そして再び、深々と一礼をする店長。丸広百貨店東松山店の有終の美。長い歴史に幕を閉じる時がやってきた。
シャッター後ろに従業員さんたちがならび、本当に多くの買い物客が残る中、営業を終了する丸広百貨店東松山店。
深々と頭を下げる従業員さん、ゆっくりと降りるシャッター、大きな拍手で見送る買い物客たち。
「まるひろー! まるひろー!」
「ありがとうー!」
「またねぇ」
「再出店待ってるよー」
様々な声も飛び交っていた。
まるひろ通りのシャッターは先んじて閉じられていたが、下の隙間からはまだ光が漏れていた。ちなみに、セレモニー終了後の片づけの最中に、地階の従業員さんと再び話す機会があったが
「おかげさまで、ブラックコーヒーも、ミネラルウォーターも、1本残らず完売しました。」
「ここまで多くのお客様が最後まで残っていただけるなんて予想しておりませんでした。」
とのこと。
まるひろ通りから店内の様子がまだのぞめる。まだ明るさを放つ丸広百貨店東松山店。しかし、この光もこれで最後。これからは、まるひろminiビバモール東松山店がその光を受け継いでいく。