大沼百貨店は2020年1月26日をもって営業を終了し、翌27日に自己破産を申請しました。
大沼は山形県を代表する百貨店でした。店舗は山形市と米沢市2店舗で営業しており、いずれも各都市の中心市街地に店を構えています。創業は山形市七日町としており、山形市の店舗は山形本店と称していました。かつて酒田市にも2店舗構えていましたが酒田駅前店はダイエーに変わり、酒田中町店は酒田大火の後再建されるも撤退しています(1967年に酒田店開店→1974年閉店、1971年酒田中町店開店→1976年閉店)。
山形県のショッピング情報やニュース(商戦など)ではまず大沼が取りあげられ、山形における百貨店の代表格となっていました。
売上高は2012年度で101億円の規模となっていますが、すでに2001年2月期の売上高は143億6736万円まで低下し、この時点で赤字へ転落していました。金融機関の支援を受け営業を継続している状態で、天童市と新庄市にギフトショップも構えていますが、ギフトショップ天童店は平成25年に閉店しています。
その後、郊外型大型店や仙台市との都市間競合で経営状況が芳しくない状況が続き、投資ファンドの支援で経営再建を目指すこととなり、2018年4月23日に経営体制を刷新。
(十字屋山形店が閉店し)「山形唯一のデパートの灯を消すわけにはいかない。」
創業家の児玉賢一社長ら全取締役が退任し、マイルストーンターンアラウンドマネジメントの全額出資会社となりました。山形店と米沢店の2店舗は営業継続し、同25日には米沢店がリニューアルオープン。山形店も今後、食品売り場のウェイトを高くするなどニーズに合った売り場構成に大幅な改装を実施する方針となっていました。
しかし、その後の資本注入が思うように進まない中、2019年3月には経営権が地元に戻ることになりました。同4月には、米沢店の閉鎖を発表し、8月15日に閉店。経営資源を山形店に集中して再建を進めていました。
ところが、昨年10月の消費税増税後、売り上げが前年同期に比べ10~20%減少していました。今期も数億円の減収見込みで資金繰りに苦しみ、2020年1月27日の取引先への支払いが困難になり、営業継続を断念。1月26日をもって、大沼山形本店、大沼米沢サテライト店、大沼ギフトショップ新庄店の営業を停止し、27日に自己破産を申請しました。大沼の破産/閉店で、山形市は県庁所在地で初の百貨店の無い都市となります(なお、この時点では酒田市のマリーン5清水屋が全国百貨店協会の非加盟百貨店として営業中であった)。